コラム~阿難の耳~

直接、葬儀関係だけに限定せず、幅広い分野の情報や日々の所感を掲載していきます。

現代人は「お葬式」に何を求めているか?

昭和初期まで、庶民の葬儀は家族や親戚、親しい友人が集まり、故人を偲んで質素に行うのが通例だった。そして、そうした人々の協力を得て行う葬儀に、多額の費用は必要なかった。しかし、終戦を境にして、葬儀の様相は一変する。
葬儀は葬儀社に頼むものになり、それに連れて費用はだんだん増えていった。
今では「お葬式」は多額の費用がかかるのが当たり前になっている。

その背景には、地域におけるコミュニケーション、特に都市部の人間関係の変化が大きく影響していると思われる。以前は、前述したように隣近所で互いに力を貸しながら、葬儀の準備を自分たちで行っていた。しかし、現在は隣近所との付き合いも薄く、さらに核家族化が進み、葬儀に必要な人手を確保するのが難しくなった。それを代行しているのが葬儀社で、その分、費用がかかるのは当然と言えば当然だが、その金額が適正であるかどうかついて、多くの消費者が疑問を持っているようだ。

サービス業の場合、「その金額が適正かどうか?」の判断は、個人の価値観によって大きく左右される傾向がある。特に「適正な葬儀費用」に対する認識は、葬儀社とお客様の間でかなりギャップがあるようだ。インターネットで情報を公開する葬儀社が多くなり、ある程度、費用の透明化は進んでいるが、料金やサービス面でのトラブルが未だに絶えない。葬儀全般に関して、葬儀社がお客様に対して納得のいく説明ができていないというのが、葬儀の現状だと言えるだろう。

そうした現状を反映してネット上の検索では、葬儀社のホームページより上位に“葬儀社紹介サイト”がずらっと並んでいる。ほとんどの業者は「紹介料無料」と謳っているが、その多くが葬儀社から掲載料や、名目を変えて紹介料を取っているようだ。法律的にもビジネス的にも、それが悪いことだとは思わないし、お客様の判断材料のひとつにはなるだろう。しかし、現場を自分の目で確かめもせず、「安心の葬儀社紹介します!」などと書いてあるサイトもあり、そういうサイトは今後、お客様との間に何らかのトラブルが発生することが予想される。

ご存知の方も多いと思うが、今年始めに一部の「共同購入サイト」で“表示と違う!”とのトラブルが多数あり、TVでもだいぶ話題になった。サイト側が店側のさまざまな状況を確認していなかったことと、客を増やしたいために実態と異なる表現をしてしまったことがその原因らしい。そのせいで今「運営サイト」(約170サイト)全体が信用を失ってしまっている。近く「消費者庁」の立ち入りも入ると聞いている。
実際問題、最近は「どの葬儀社紹介サイトなら信用できますか?」と尋ねられることも多い。

インターネットの普及により情報が氾濫する現在、その中から自分にとって必要な「本物」の情報を得ることがますます難しくなっている。葬儀に関しても様々な情報が横溢しているが、その中から本物を見極めるポイントは「葬儀の本質とは何か?」という原点に返ることではないだろうか?「人を送る」という葬儀の本質に立ち返る時、葬儀社にもお客様にも、新しい時代の葬儀の在り方が自ずと見えてくるような気がする。

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