コラム~阿難の耳~

緊張が解ける瞬間

とある都内の高級ホテルではアロマにレモングラスを使っています。エントランスを経て、エレベータ内からやんわりと漂っていたその香り、気づいたのは部屋に入った時に用意されていたウェルカム用のハーブティーでした。
爽やかでいて、なお奥深いレモングラスの風味。緊張が解ける瞬間です。
ホテル内のレストランにもレモングラスをモチーフにしたメニューがありました、しかしことさら強調している訳ではなく、静かに香るそのフレグランスと同じく、気がつけばなるほどと思う寸法です。
レモングラスの効能はリフレッシュと落ち着きをもたらすと言います。確かにホテルに着いて、にわかに自分を取り戻す過程で、この香りがもたらす心地よさはなんとも言えず癒されるものでした。

葬儀の仕事は癒しのシゴトと言われています。 昔と違い、今では式場主導の商品戦略が主流でホテル、レストランと同様にお客様が入店してからお帰りになるまでのトータルな品質が問われるようになりました。お客様目線で何を訴求するか?提案と想像力の勝負です。お客様に訴求するということは、五感に訴えなければなりません。視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚、それぞれの要素に対して、私達は効果的なアプローチをしているのでしょうか?
思うにそれは、価格や説明だけではない、心や体の深層にアクセスする大きなチャンスなのだろうと・・・。

今日も至る所で心のこもった個性的な葬儀が展開されています。しかしながら、お客様は心労や旅疲れ、気がかりな接待等々、とても何かに感じ入るゆとりはありません。
私達がお客様に伝えたいこと、持って帰って欲しいものをどんな環境で伝えたら良いのか?手法は様々ですが、一つにお客様の五感を開くということは、それを伝えるための舞台づくりなのではないでしょうか?葬儀の間、その非日常の最中に居るお客様が、ほんのひと時、五感を取り戻すことは、知覚に目覚め緊張が解ける、まさに癒される瞬間なのだと思います。
私達のシゴトはまさに癒すこと。ハード、ソフトの両面でブレずにこの事を追求していきたいと改めて思い出すことができました。

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