葬送ルネサンス

第一話 新しい葬儀の潮流

2.お客様は葬儀に何を求めているのか?

全葬連「葬儀に関するアンケート調査」より
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以前、全日本葬祭業協同組合連合会が、日本消費者協会全国モニターや全国消費者協会連合会会員を対象に行った葬儀に関するアンケート調査からは、現代人の葬儀に対する考え方の一端が垣間見られる。葬儀や告別式に参加した経験がある982人に印象を尋ねたところ、約半数が「形式的になりすぎている」と答え、次いで「不必要なものが多すぎる」「もっと質素にした方がいい」「世間体や見栄にこだわりすぎている」が3割を超えていた。筆者も含めて、葬儀関係者にとってはなかなか手厳しいご意見である。(図)

さらに「望ましい葬儀」については、「費用をかけないでほしい」が圧倒的で5割を超え、続いて「家族・地域に任せたい」「家族だけで送ってほしい」が3割を超えた。また「宗教行事はしてほしくない」は1割弱で、無宗教の葬儀を希望するケースが増えてきていると同時に、「葬儀には宗教が不可欠」という考え方が根強いこともうかがわせる。この数字だけを見ると、現状の葬儀に対する不満は「形式的で華美」という点に集約されているようであり、その逆に「費用をかけずに慎ましい葬儀」が望まれているように見受けられる。

確かによくよく考えてみれば、葬儀というのは実に不思議なイベントである。地域により格差はあるが、ほとんどの葬儀では国産車が1台楽に買える金額を、お通夜と告別式という実質2日間で使って切ってしまう。もしこれだけの金額の買い物をする場合なら、様々な意見をもとにカタログ等を取り寄せ、何日もかけて検討を重ねた上で購入するのが普通であろう。しかし葬儀の場合、お客様にはほとんど選択の余地はなく、即断でそれだけの金額の支払が決定されてきたのが、これまでの通例だった。ここに「葬儀業の特殊性」があるわけだが、このことについては今後改めて、「葬儀ビジネスの特殊性」という項目を設けて詳しく述べてみたい。

以上のような点から、お客様が望む葬儀の傾向性がおぼろげながら見えてくる。そのひとつのキーワードは「個性化」である。「形式的になりすぎている」という回答は、まさにこの点を示唆しているのではないだろうか。「自分らしく生きたい」という言葉は、現代人の理想とするライフスタイルに不可欠なキーワードであり、その傾向は今後ますます増えていくだろう。その裏返しとして「自分らしく死にたい」と考えることはなんら不思議ではなく、人生の最後を飾るイベント=葬儀も「自分らしく」と考えるのも当然だろう。

第2のキーワードは「単純化」である。「不必要なものが多すぎる」「もっと質素にした方がいい」「世間体や見栄にこだわりすぎている」という意見にそれは象徴されており、「費用をかけないでほしい」という要求も、「できる限り単純に」という現代人の「シンプルライフ志向」を反映したものだと考えられる。

最後に「納得性」というポイントをあげたい。まとまった金額を支払うのだから、「納得して支払いたい」と考えるのが当然であろう。前の2つの「個性的」であり「単純化」された葬儀に「納得した」金額を支払いたいのである。

これら3つのキーワードは、「情報のオープン化」によりさらにそのニーズが加速化・多様化していく傾向を見せている。今、全国の葬儀業者の方々が頭を悩ませている問題も、「それらのお客様のニーズに応えるために何が必要なのか?」という点に集約されるように思う。そこで必要になってきたのが、「葬儀をプロデュースする力」なのである。

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