葬送ルネサンス

第三話 人は葬儀に何を求めるか?

2.「満足」していただくために必要なもの

第2話の「葬儀は誰のために行われるか」のなかでは、葬儀を「故人」「遺族」「参列者」の関係からそれぞれを図式化しながら考えて見た。今回はさらにそれを進めて、葬儀における「満足」がどのような関係の中で満たされるのかを考えてみたい。また面倒な説明になる点はご容赦いただきたいが、前述同様、ここにポイントがあると考える。

さて前の分析の中で、筆者は三者の関係を「気持ち・心」が主要部分を占める関係と、「金銭」という具体的なものが関係する部分に分けみた。具体的には「お香典」を「遺族と参列者の関係」に入れた部分などである。そうして分けて考えてみると、葬儀業がビジネスである以上、当然のことながらそこには具体的な金銭が係りをもち、その対象は具体的な存在ではなくなった故人ではなく、遺族であることは明白である。
「契約上」というふうに限定してしまえば、当たり前の話ではあるが葬儀社のお客様は遺族以外にありえないわけで、その満足だけを考えていれば「葬儀における満足」が得られるのかといえば、そうではないということもまた明白である。

遺族の満足とは、様々な要因はあるだろうが、煎じ詰めて言えば「故人の追悼のために何を行ったか?」という一点に集約される。極端な言い方をすれば「きちんとした葬儀を執り行った」という自己満足であると言えないだろうか。しかしこの満足に至るまでには、故人・参列者・遺族の間にいくつかのプロセスが必要なのである。
故人を追悼するのに十分な葬儀内容であった(ディレクションが行われた)という判断が、参列者に「故人にとっても意義ある式だった」という共感を呼び、それが「葬儀をやってよかった」という遺族の満足につながったとき、故人を無事に送ったという安堵感も伴って、三者の間に「葬儀における満足」が成立する。
葬儀社はその葬儀の準備・進行を遺族に代わって執り行う代行者である。葬儀費用はこの満足に対する対価であり、葬儀における遺族の気持ちが満たされれば、費用に対する「納得」も自然に得られるはずである。

では、具体的に「葬儀における満足」を得るためには、葬儀社は何をポイントに葬儀の運営・演出を考えていけばいいのだろうか?
前回取り上げたアンケート調査の中では、「参列者が故人を弔う儀式」と「故人が参列者に別れを告げる儀式」というイメージが全体の約八割を占めていた。ここに大きなヒントが隠されている。つまり、この2つの要素を満足させるディレクション(式場レイアウトや進行など)が参列者の共感を呼び、ひいては遺族の満足する葬儀につながるのである。しかしこれはあくまでも一般的なデータであり、個々の葬儀事情は全て微妙に異なり、簡単にはひとくくりにできない部分も多い。
当然それに応じて、葬儀に望むものも、さらにそこにおける満足も違ってくる。その個別の部分をいかに吸い上げるかが、重要な鍵になってくる。

そのためには「お客様(遺族)がどういう葬儀を望んでいるか?」というリサーチをする、つまり「お客様の話をよく聞く」ことが第一である。この第一段階の「話をよく聞く」ことで、お客様の気持ちが満たされ、最終的な支払い段階での「納得」に大きな影響を与えるといっても過言ではない。
西洋の諺に「パンを欲しがる人にはパンを。ミルクを欲しがる人にはミルクを」という言葉があるが、お客様が故人を追悼するのに求めているのは何か(料金等も含めて)を知ることが全ての始まりになる。さらに故人について知ることは、葬儀をプロデュースする上でもっとも基本となる部分でもある。
第二段階としては、リサーチによって得られた情報に対して、様々な要望に応えられるだけの「プロデュース力」、具体的に実現するための「ディレクション力」、さらにそれを支えるための内・外の「スタッフ」が必要である。これらを揃えることでお客様に安心・納得していただくことが、最終的な葬儀の成功=満足につながっていくのである。「そんなことは解っている!」と言われそうだが、はたして毎日の葬儀の中でそれらがほんとうに具現化されているか、あらためて考えてみてはどうだろうか。

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