葬送ルネサンス

第四話 変革を阻害する要因

2. アンテナを高く、情報と変化に敏感に

「葬儀業界側の課題」をあえて一言で言えば、筆者は「アンテナを高くして、情報と変化に敏感になる」ということに尽きると思う。養老孟司氏はベストセラーとなった「「バカの壁」(新潮新書)の中で、「無関心と既成概念こそ変革を阻害する最大の壁である」と述べている。
社会でどんな変化が起ころうが、どんなに貴重な情報が入ってこようが、基本的にそれに対して「無関心」であれば、すべてアンテナに引っかかってこない。筆者がセミナーや講演会等で繰り返し指摘する「アンテナを高く」というのは、まさに「社会の変化や情報に関心をもち、それに素早く対応する努力をしよう」ということに他ならない。

第1話で、葬儀業界の特徴として「歴史的な背景等による限定された商域を保証された地域密着型ビジネス」であり、「典型的な受注産業」という業界の特性が中小規模業者の「共存共立」を可能にしてきたと述べた。さらにここにも、日本人の特性である「皆さんとご一緒に」という「横並びの論理」が入り込んでくる。

堺屋太一氏は「日本を創った12人」(PHP新書)の中で、この「横並びの論理」で出来上がった日本特有の「村社会」が発展したものが、現在の経済界における「各種業界団体」であり、そのトップが「財界」という組織であると分析している。
その明治の産業振興の立役者・渋沢栄一以来の伝統が、日本の企業の国際競争力を低下させた大きな原因であり、それを引き起こしたのが各種団体ごとの談合や、所轄官庁指導の「護送船団方式」「横並び主義」だと喝破している。
筆者は現在の葬儀業界が置かれている現状や今後の課題が、国際的か国内問題かの差こそあれ、堺屋氏の指摘する課題に類似しているように思われる。

葬儀業界はこれまで他業種と比較して社会変化の影響を受けることが少なく、各業者が業界内で協力し合い、内部の結束を固めることが安定の鍵だったと言えるだろう。どちらかといえば、外からの情報よりも内部での協調が重要だと考えられてきた典型的な「業界団体」だったと言えるかもしれない。しかし、数年前から様々な機会に耳にするのは「今のシステムが崩れつつあるのではないか」という危機感である。そこで「どうしたらいいか?」という問いに「こうすればいいのでは…」というアドバイスをさせていただくのだが、その際に「これはできない」「他がやっていない」という答えが返ってくることも少なくなく、そこに筆者は「見えない壁」を感じるのである。

アンテナを高くすることは、その見えない壁を突破する第一歩だと筆者は考える。新たな情報や社会の変化に敏感になることこそ、葬儀に対するニーズを知る上で不可欠な要素であり、葬儀業界が置かれている現状とこれから進むべき道を模索するための道標となると確信する。そしてその道標の先に、「変革への道」は自ずと見えてくると言えるだろう。

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