葬送ルネサンス

第四話 変革を阻害する要因

3. 変革への一歩を踏み出すために

「変革への道」を切り開くために、早急に必要なものは何なのだろう?
1つはお客様に対する「新しい葬儀様式を提案しながら、それを理解していただくための啓蒙運動」ではないかと考える。先にも述べたように、情報の多様化による人々のライフスタイルの変化は、葬儀様式にも確実に変化を与えつつある。この現状に迅速に対応していくことは当然、必要だが、さらに一歩進んで「これは変革の絶好のチャンスである」ととらえ、葬儀業界全体が一丸となり、社会に向かって「新しい葬儀の啓蒙と提案」ができたら、葬儀業界は大きな変革への一歩を踏み出せるのではないだろうか。

さて、その「新しい葬儀の啓蒙と提案」ためにも必要なのが、先に述べた「アンテナの高さ」なのだが、それを具体的にすると以下の3点に集約されるのではないかと考える。

第一は「状況を分析する確固たる視点」である。
我々が日々直面する「人間の死」の周辺には、普通のビジネスとはまったく違った特別な環境があり、関連する人々(故人・遺族・参列者)の様々な思いが交錯している。社会全体、特に近年のビジネス環境は、ともすれば「安さ・便利さ・効率化」に流される傾向があるが、葬儀に求められるものが単にそういうものだけでないことは、これまでの連載で繰り返し述べてきたとおりである。
あらゆる状況を素早く分析し、適格な判断を下せるようになるために、我々葬儀業界関係者は、自ら葬儀の歴史や背景、さらに現状についてさらに詳しく勉強すべきだろう。その中から状況に左右されない、独自の確固たる視点が育まれていくに違いない。

第二は「現状に対応するための柔軟な発想」である。
これは先にあげた「無関心」と「既成概念」の対極に位置するものである。「皆さんとご一緒に」という意識が崩れた後に訪れるのは、「個別化」「オリジナル」という要求だろう。葬儀に関して言えば、「百人に百人の人生がある」のであれば「百の葬儀があってしかるべきだ」という発想になる。そういうニーズが高まってきた時、それに対応できるかどうかは「柔軟な発想」にかかってくる。その柔軟な発想を磨くためにも、業界内だけでなく異業種交流会や各種経営セミナーなどにも積極的に参加し、様々な業界の人々との交流を深め、情報のアンテナを張り巡らせるべきである。
そこから有益なビジネスのヒントやアイディアがキャッチされるだろうし、自らのビジネスを見直すいいきっかけにもなるはずである。

第三は「情報処理能力」である。
これは第一、第二のポイントがクリアされることにより、自ずから身についてくるものと思われるが、この急速に拡大する情報化社会の中で、生き残るために不可欠なものだと考えられる。この能力が欠如していると、多様化する情報の中で「何が必要か、不必要か」の判別ができなくなり、結果的に情報の波に流されてしまうことになる。情報は上手く活用できなければ、かえって判断を迷わせたり遅らせたりして、ビジネスにとって有害なものになりかねない。

この3点を確認した上で、改めて社内の意思統一を図ることを忘れてはならない。様々な会社を見ていると、知らない間に会社のトップと現場で意見が食い違っているということが多々ある。せっかく時間をかけて練られたトップの考え方や指示が、現場に浸透していないと感じられることも少なくない。
こうした食い違いを無くすためには、一にも二にもよく「話し合う」ことが大切である。「三人寄れば文殊の知恵」という諺もあるが、話し合い、納得してこそ、机上で練られたアイディアやプランが現場に浸透し、着実な成果となって表れてくるはずである。
こうしたポイントの他に、葬儀には変革を妨げるもう1つの「大きな壁」がある。それがビジネスとしてとらえた場合の「葬儀ビジネスの特殊性」なのだが、次はそのことについて詳しく考察してみたい。

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